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ヴァイオリンのフルサイズ購入-「たやすく鳴る」で選ぶのはNG

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本人に弾かせて選ばせると、ほとんど失敗

教師が関与できる時間は1週間に1回、せいぜい1時間です。それにひきかえ楽器と付き合う時間は、ほぼ毎日数時間です。

だから、誰もがより良い楽器を、勉強ができる楽器を、と考えるのは当然です。

コンクール対策を念頭に置く場合もあるでしょうが、以前に書いた通り、数十万円クラスの楽器でも「学生音コン」には十分通ります。

ただ経済的に可能な親御さんは、もっと上を見ているケースもあるでしょう。そうして支払った代金を無駄にしないためには、どう選ぶべきでしょうか。

概ねフルサイズを購入するのは小学校高学年、あるいは買い替えで入試前という場合が多いでしょう。

このとき子供の好き嫌いもあるからと、本人に弾かせて選ばせるとほとんど失敗します。子供は耳元で良く鳴る楽器、弾きやすい楽器、弾いていて気持ちの良い楽器を選んでしまうからです。

そうした楽器に、正直な値段がついていればまだ良いのですが、たちの悪いものになると鑑定書付きの本物を削って鳴りやすくして売っている場合があります。

「ああ、いい音だ、さすが〇〇万円出しただけある」と喜んでいると、最初は良い音がしていても、数年したらへばってくることもありえます。

弾ける人を同行し、距離を置いて聴く

そもそもいくら上手だと言っても、思春期のまだ身体が出来上がっていない子供の技量に過ぎません。その楽器の潜在的な力を引き出せるほどの力はまずありません。

ましてや、その楽器が果たしてホール一杯に響くくらいに鳴るものかどうか、耳元で弾いただけで判別できる能力は皆無です。プロでもわからない人間が多いのですから。

売り手側に技量があれば、狭い工房内で鳴らしただけでも大ホールで鳴る力があるかどうかわかるものです。それを「実際に弾いて見なければわからない」と言うのは、単なる逃げ口上の可能性があります。

ですから、余程信頼出来るところ以外は店に行くときはそれなりの弾き手を同行して弾いて貰い、別室であるいは離れたところで聴いてみる必要があります。試し弾きに借りてきたら、やはり必ず距離をおいて聴いてみることです。

力のある楽器は、はじめからたやすくは鳴ってくれません。

出るはずの音が出ない、どうしてか? 手首で弾いているのでは? 肘の高さは? 左手は? と自問自答しながら練習する。そこで初めて先生の日頃の言葉が身にしみて分かってくるのです。

そういう繰り返しが自分の音を創っていく。楽器は最良の教師、と言うゆえんです。

ヴァイオリン購入のための参考書籍

銘柄や鑑定書の知識、価格の決まり方、相場なども、具体的かつ詳細に記した、ヴァイオリン選びのバイブルとも言える名著。
神田侑晃著『ヴァイオリンの見方・選び方 基礎編・応用編』

改訂 ヴァイオリンの見方・選び方 基礎編 -間違った買い方をしないために-


改訂・ヴァイオリンの見方・選び方 応用編

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