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【King Gnu 常田大希】藝大、チェロ、Nコン、マリンバ 異才に注ぐ音楽の水脈

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大プレイク中のロックバンド King Gnu(キングヌー)。

その作詞・作曲・ギター・ボーカルを担当する常田大希(つねただいき)さんは、東京藝術大学音楽学部器楽科チェロ専攻の出身。

ヒット曲『白日』における高低部の振幅がある器楽的展開、アルバム『Sympa』のインタールードに見られる色彩感に富んだオーケストレーションの手法など、「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」と呼ばれるその独自の音楽スタイルには、常田さんがこれまでに学んだ音楽の影響が少なからず見て取れる。

幼少期からチェロを習いつつ、中学時代は合唱部にも所属。全国屈指の音楽コンクールに入賞した実績も持つ常田さんの音楽の水脈を探る。

6歳でチェロコンサート出演 母・兄と共演

常田大希さんは、1992年5月15日生まれ。

学歴は、伊那市立東部中学校卒業、長野県立伊那北高校卒業、東京藝術大学音楽学部器楽科チェロ専攻入学・中退。

幼少期から早期音楽教育で定評のあるスズキ・メソード(才能教育研究会)でチェロを習った。

6歳で、「長瀬冬嵐クラスの生徒たちによるチェロコンサート」(1998年10月11日)に出演。兄の常田俊太郎さんもヴァイオリンで共演している。
(また、この時のプログラムには常田理恵さんという名前もあり、お母様もピアノ伴奏で共演しているものと思われる)

合唱コンクールの最高峰Nコン全国大会出場 マリンバ伴奏

チェロを続けながら、伊那市立東部中学校時代には合唱部にも所属していた。同郷の King Gnu ボーカルの井口理(さとる)さん(東京藝大声楽科卒)も同じ中学の1学年下で、合唱部の一員だった。

同合唱部は2007年、「Nコン」として知られる「第74回NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部で、地区大会・県大会・関東甲信越大会をすべて最高位の金賞で勝ち抜き、全国コンクールに出場、優良賞を獲得した。

この時、課題曲『めぐりあい』では合唱に加わっていた常田さんだが、自由曲『IMBENI~魂の夜明け~』では、マリンバの伴奏を担当。楽器を手にしたのは地区大会が始まる1ヶ月前だった。

「平成19年度Nコン全国大会中学校の部(伊那市立東部中・めぐりあい)」(※)ピアノ伴奏は常田理恵さん

「平成19年度Nコン全国大会中学校の部(伊那市立東部中・IMBENI)」

チェロと合唱部以外では、中学生ですでにバンドを結成、ギターやベースを弾き、MTR(マルチトラックレコーダー)を使って作曲も始めた。

クラコンで第3位、東京藝大へ

チェロでは、17歳(高校3年生)の時、「クラコン」で知られる「第20回(2010年)日本クラシック音楽コンクール」チェロ部門・高校の部の全国大会で第3位に入賞した。

東京藝大にはチェロ専攻で入学した。藝大受験では、チェロの専攻実技のみならず、副科ピアノの実技と音楽に関する基礎能力検査(聴音・楽典・新曲視唱・リズム課題)も課される。

たとえば副科ピアノでは、モーツァルトやベートーヴェンのピアノソナタが課題曲になることもある。常田さんと井口さんがキーボードや電子ピアノを難なく弾きこなせるのは、こうした藝大受験に向け培われたものが大いに関係していることは容易に想像できる。

また、聴音(耳で聞いた旋律や和音を楽譜に書き記す)、新曲視唱(新しくもらった楽譜を視て、練習せずにその場で正確に歌唱する)、楽典(楽譜を読み書きするために必要な理論・ルール)についても、藝大受験のためには専門の先生に師事する必要がある。

もちろんアーティストになるには、アカデミックな音楽教育は必須条件ではないが、我流の演奏技術や作曲手法のみに頼る場合に比べれば、独創性を生み出すための引き出しの数や深さの点で違いがあるのは明らかだ。

ストラヴィンスキーやプロコフィエフの音楽に、サイケデリックなロックサウンドの質感との共通性を見い出すところなどは、常田さんならではの音楽家としての境地を示していると言えよう。

2011年には、オーディションで選抜され「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」に参加した。

兄は東大卒 江藤俊哉ヴァイオリンコンクール第3位

ちなみに、兄の常田俊太郎さんは、「第9回(2004年)江藤俊哉ヴァイオリンコンクール」ジュニア・アーティスト部門で第3位に入賞。

東京大学工学部卒業後、戦略コンサルティング会社を経て、株式会社ユートニックを設立し、代表取締役に就任した。

King Gnu の楽曲や、常田大希さんによる世界進出を企図したプロジェクト millennium parade の楽曲にもヴァイオリニストとして参加している。

【参照サイト】
「鈴木鎮一記念館」
「伊那谷ねっと」
「日本クラシック音楽コンクール」
「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」
「ルネこだいら(小平市民文化会館)」
「音楽主義」


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