2016年6月22日、東京芸大が音楽分野における世界トップアーティストの戦略的育成を目的として、2つの画期的な施策を推進していくことを発表した。
中学生対象に上野キャンパスで個人レッスン等を実施
まず、2014年度から構築に着手した早期教育システムの一層の充実のため、来年(2017年度)より、全国の中学生を対象に「東京芸大ジュニア・アカデミー」を上野キャンパス内に創設する。
中学1年生~3年生各10名程度に、ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・管楽器等の専攻分野において、芸大教員及び海外一流演奏家による個人レッスンを行うと共に、読譜やリズム感等の音楽基礎理論を学ぶ「ソルフェージュ」 や、ステージ実践による公開型成果発表を必修とするなど、将来的な成長・飛躍を見据えた実践的かつ総合的な指導を実施する。(3年間を標準修業期間として、指導は平日の夕刻・夜間や土日祝日、夏休み等の長期休業期間等に実施。選考は1次書類・音源、2次実技・音楽基礎能力による総合判定で検討中)
2014年から始まった「早期教育プログラム」の継続的かつ体系的な発展形態としてこの「東京芸大ジュニア・アカデミー」を位置付け、スーパーグローバルハイスクールの指定を受けた東京芸大附属高校における海外一流演奏家による特別レッスンや海外派遣プログラム、さらには「スペシャルソリストプログラム」による、高校2年生からの「飛び入学」により、東京芸大を3年間で早期卒業、海外音大留学へと送り出す、世界トップアーティストを育成する「小中高大一貫型」の人材育成システムに発展させていく狙いがある。
「東京芸大ジュニア・アカデミー」の創設に伴い、東京芸大の「音楽別科」 の入学定員(30名)は10名削減し、学内リソースの再配置・見直しを行う。
同アカデミーの募集要項の発表は本年9月頃を予定している。
芸大生の演奏音源を「芸大レーベル」として世界配信
2つ目の施策は、「東京芸大グローバルプロモーションシステム」と銘打ち、世界の音楽市場に向けた産学共同の戦略的プロモーションにより、芸大生のキャリアサポートを行うシステムを構築するもの。
今年度より、芸大生のための「芸大レーベル」を新たに立ち上げ、クラシック音楽はもとより、邦楽も含めた、学生選抜メンバーによる演奏音源を世界の主要チャンネルにデジタル・ストリーミング配信して、国際的に流通・普及させることにより、若手音楽家の世界の音楽市場への参入・開拓を促進する。
さらに、国内の音楽大学では初の試みとして、世界の音楽市場に多様なネットワークを有するワーナーミュージックジャパンをはじめ、Apple Music やLINE Music等音楽産業とのコラボレーションによる、人材育成プログラムとキャリア支援・国際プロデュースを連動させた「産学連携グローバル人材育成モデル」を構築する。
同システムは将来的に在学生のみならず、卒業生、芸高生、ジュニア・アカデミー受講生等を含めた若手音楽家をサポート対象として広く展開していくとしている。
『東京藝大ジュニア・アカデミー』の新設について(PDFファイル)(東京芸大公式サイト)
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