モントリオールでの快挙の報が駆け巡った翌日、日本の仙台も2名の日本人コンテスタントが入賞する結果に沸いた。
6月2日~4日、「第6回仙台国際音楽コンクール」ヴァイオリン部門のファイナルが行われ、日本の青木尚佳さんが第3位、岡本誠司さんが第6位に入賞した。
協奏曲中心の課題曲構成を特徴とする同コンクールには、事前審査に通過した40名のうち32名が出場した。
予選ではパガニーニ:カプリースとバルトーク:無伴奏ソナタに加え、モーツァルトのアダージョとロンドを指揮者なしの室内楽オーケストラと共演、セミファイナルでは難度の高さで知られ、実演機会が少ないシューマンの協奏曲とヴィルトゥオーゾピースを広上淳一氏指揮:仙台フィルハーモニー管弦楽団と共演するプログラム。
ソリストとしての高度な技術、時代様式の異なる楽曲の弾き分け、アンサンブル能力等が厳しく問われる中、32名(日本19名)の出場者は予選で12名(日本7名)、セミファイナルで6名(日本2名)へと絞り込まれた。
迎えたファイナルは、メンデルスゾーンの協奏曲とロシア系協奏曲を1度のステージで仙台フィルと共演するハードなプログラム。ファイナルの特別審査員としてギドン・クレーメル氏が招聘された。
日本勢でファイナルに残ったのは、すでに国際コンクールで輝かしい入賞実績を持つ青木尚佳さんと岡本誠司さん。
ファイナルのロシア系協奏曲として、ふたりは共にプロコフィエフの2番を選択した。
青木尚佳さんは予選とセミファイナルで示した安定した技術と完璧なピッチコントロール、多彩な旋律の歌い回しをファイナルでもいかんなく発揮、2つの作品世界の異なる美の稜線を丁寧に描き分けて第3位に入賞。
一方、岡本誠司さんは、真摯な楽曲への探求心と柔軟な音楽性に、一昨年の国際コン優勝以降備わった自信と風格が良い相乗効果をもたらす堂々の演奏で、第6位に入賞、合わせてセミファイナル3日目の聴衆賞も獲得した。
第1位は、優美かつ力強い表現で群を抜く作品世界の造形力を示した韓国のジャン・ユジィン(JANG Yoojin)さん。(「2013宗次エンジェル」第1位、「2014インディアナポリス国際」第5位。)
第4位に、前回(2013)同コンクール第4位のアンナ・サフキナ(Anna SAVKINA)さん(ロシア)が入った。
Prize Winners
1st prize JANG Yoojin(25) Korea
2nd prize Stephen KIM(20) USA
3rd prize AOKI Naoka(24) Japan
4th prize Anna SAVKINA(21) Russia
5th prize Meruert KARMENOVA(23) Kazakhstan
6th prize OKAMOTO Seiji(21) Japan
青木尚佳さんは、「第56回(2002)全日本学生音楽コンクール」小学校の部・東京大会第3位、11歳で挑んだ「第5回(2004)若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」で最年少ディプロマを受賞。「第78回(2009)日本音楽コンクール」第1位。2014年10月に「第4回中国国際ヴァイオリンコンクール」で第2位、その3週間後に過密な日程と難度の高い課題曲で競われた「2014 ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール」 ヴァイオリン部門でも第2位を獲得するという離れ業を演じた。
岡本誠司さんは、「第60回(2006)全日本学生音楽コンクール」小学校の部・全国大会第1位、15歳で「2009ロベルト・カネッティ国際ヴァイオリンコンクール」第2位、「第3回(2011)宗次エンジェルヴァイオリンコンクール」第4位。ピッチ・奏法の相違、チェンバロ伴奏、バロックオケとの共演等、他の国際コンとは異質の条件で競われる「第19回(2014)J.S.バッハ国際コンクール」ヴァイオリン・バロックヴァイオリン部門で東洋人初の第1位となり聴衆賞も受賞した。