美術学部は微増、音楽学部は6%増
東京藝術大学の入試情報サイトに、平成29年度の美術学部と音楽学部の入試志願状況(2月9日確定)が発表された。
美術学部の一般入試の志願者数は、昨年比微増の2937名(昨年2915名)。募集人員は234名で、志願倍率は12.55倍となった。(昨年は12.46倍)
6年前の平成23年度には3540名あった美術学部の志願者数は、減少トレンドが続き、平成27年度には2736名(22.7%減)にまで落ち込んだが、昨年平成28年度にようやく反転し、前年比で179名増加した。
かつてほどではないが、それでも美術学部の入試は昨年・今年と12倍を超える高倍率を維持しており、他大学を凌駕する超狭き門の厳しい入試状況が続いている。
一方、今年の音楽学部は、募集人員237名に対して志願者892名と、昨年より50名(5.9%)増え、美術学部に1年遅れる形で、こちらも増加に転じた。志願倍率は3.76倍となった。(昨年は3.55倍)
音楽学部の志願者数も、6年前の平成23年度は1048名だったが、その後やはり減少が続き、一昨年・昨年と840名台に低迷していた。
V字回復とまではいかないが、ようやく志願者数が増加に転じた背景には、昨今の「藝大ブーム」がありそうだ。
東京藝大の先進的な取り組みが広く注目され、キャンパスや学生がメディアで取り上げられる機会が増えた。
昨秋出版された『最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―』(二宮敦人著)は10万部を超えるベストセラーとなった。
器楽科の実質競争倍率は4.29倍程度か
音楽学部器楽科は、募集人員98名に対して志願者445名、志願倍率は4.54倍となった。(昨年は志願者412名、志願倍率4.20倍)
器楽科ではとりわけ、「早期教育プロジェクト」・「飛び入学」・「東京藝大ジュニア・アカデミー」といった従来ない野心的な取り組みが、澤和樹学長自らのリーダーシップの下、積極的に展開されてきた。その効果が久々の志願者数増という形で芽吹き始めたと言える。
器楽科は昨年の入試で、志願者412名中405名が受験し、102名が合格、実質競争倍率は3.97倍だった。
受験者数が例年同様(志願者数マイナス6〜7名程度)で、合格者数が昨年と同じ場合、今年の器楽科の実質競争倍率は4.29倍と推定される。
尚、器楽科の各専攻別の志願者数は、入試前日の2月24日に発表される集合時間表で明らかとなる。
「東京藝術大学 平成29年度 学部一般入試 ・ 別科志願者状況」(PDFファイル)(「東京藝術大学入試情報サイト」)
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