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コンクールの入賞歴は本当に物を言うのか?

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コンクール実績と入試

コンクールの入賞実績は音高・音大の一般入試では一切物を言わない。

入試時の専攻実技の出来が良いかどうか。

その一発評価で、ほぼ合否が決まるのが入試だ。

たとえ、学生音コンやジュニア国際コンで入賞していても、受験時の専攻実技のスケールやエチュードが正しく弾けなければ、一次で落とされる。

しかるべきコンクール実績を引っ提げて音高や音大を受験したものの、不合格となってしまったケースは皆無ではない。

出願時にコンクール実績の提出が求められる場合でも、本番の実技で精細を欠けば合格は難しい。

それが入試と言えるだろう。

「どんぐりの背比べ」が明確な「差」になる時

一方、音高・音大入学後に付けられる生徒間の序列に関しては、コンクールの入賞実績が物を言う場合は多い。

厳しい入試を勝ち抜いてきた生徒たちの実力は、おしなべて一定水準以上であり、ドングリの背比べ状態であることが多いのが常だ。

突出した実力を有するひと握りの俊英を除けば、学内試験だけでは判別し難いこの生徒間のわずかな実力の差に、どうやったら厳然とした差をつけることができるのか。

そんな時に、学外から提示される「客観的な」コンクール結果は、ひとつのお墨付き、序列付けに有効なアセスメントのひとつとなり得る。

コンクールの入賞実績を持つ生徒は、結果として他より実力が上と認められ、学内外でのある程度定まった評価、つまり「定評」ができ上がっていく。

コンクール実績がこの「定評」の形成に役立つのは事実だ。

日本音コンは世界の楽団への登場を促すか?

ただし、国内コンクールの実績が物を言うのは、国内に限っての話。

当然のことながら、海外ではこれは通用しない。

日本音コン優勝といっても、単に「ナショナルコンクール」の入賞に過ぎない。

日本音コンはその規約(第5条)で「EBU(ヨーロッパ放送連合)を通じて、本選の演奏を加盟放送機関に紹介することにより、世界の楽壇への登場を促す」と謳っているが、世界でそれほどに注目されている実感は、残念ながら乏しいと言わざるを得ない。

全ドイツ音楽コンクールの優勝者が国際コンに出てきた時、我々はそれをどう感じるだろうか。

海外で認知されようと思えば、どうしても海外での「定評」が必要となってくる。

そのためには、国際コンクールでの入賞実績やステージ経験(著名な音楽家との共演経験)の積み重ねが大きな鍵となるだろう。

コンクールで成功するための5つの鍵(アーロン・ロザンド)

「私がコンクールの勝者に求めるもの」(ピエール・アモイヤル)

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著者はウィーン・コンツェルトハウスの元CEO兼芸術監督ら
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