ヴァイオリンは2名 個人レッスン・オケ実習・室内楽等で育成
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団がオーケストラアカデミーを創設し、次代を担う若手演奏家の育成に乗り出した。
2019年夏に行われたアカデミー第1期生のオーディションに合格したのは12名。
年齢は18~27歳、11の専攻楽器に渡り、国籍はオーストリア4名、アメリカ2名、韓国、ロシア、スロヴェニア、スイス、イタリア、ハンガリー各1名だった。
ヴァイオリンは2名で、アメリカの Hannah Cho さんは、ジュリアード音楽院を経てマンハッタン音楽院に在籍。「2016アリス&エレノー・シェーンフェルド国際弦楽コンクール」ヴァイオリン部門第3位、「2019マイケル・ヒル国際ヴァイオリンコンクール」第5位。
アカデミー生には、2019~21年シーズンの2年間の研修期間中に、各パートの団員による個人レッスン、ウィーン・フィルのリハーサル・公演・ツアーでのオーケストラ実習、室内楽の指導と楽友協会での演奏会、オーディションへの準備、メンタル&プレゼンテーションコーチ、楽友協会資料室・国立図書館での資料・楽譜の閲覧など、様々な育成プログラムが無償で提供される。
もちろん、アカデミー生になることで、ウィーン・フィルへの入団(※)が必ずしも有利になるわけではないが、1972年にオーケストラアカデミーを創設したベルリン・フィルでは、現在、団員の3割がアカデミー出身者で構成されるようになったという。(※)ウィーン国立歌劇場管弦楽団のオーディションに合格し、3年間実績を積むことが必要
ウィーン・フィルの育成プログラムにはオーディションへの準備も含まれており、今後、アカデミー出身者からウィーン国立歌劇場管弦楽団あるいはその他の著名なオーケストラのオーディション合格者を輩出することが期待される。
また、ウィーン・フィルのオーストリア以外の外国出身の団員は増加しつつあるものの、その多くは中・東欧やロシアに限られ、それ以外の国の出身者はまだ少ないのが現状だ。
今後のアカデミーの展開が、ウィーン・フィルのさらなるグローバル化を推し進めるかどうかも注目される。
【Members of the Vienna Philharmonic Orchestra Academy 2019-2021】
Paul Blüml(Austria)/ Oboe
Hannah Cho(USA)/ Violin
Andraž Golob(Slovenia)/ Clarinet
Patrick Hofer(Austria)/ Trumpet
Hana Jeong(South Korea)/ Double Bass
Kelton Koch(USA)/ Trombone
Andrei Krivenko(Russia)/ Flute
Ulisse Mazzon(Italy)/ Violin
Samuel Mittag(Switzerland)/ Viola
Michael Stückler(Austria)/ Horn
Benedikt Sinko(Austria)/ Violoncello
Szabolcs Szöke(Hungary)/ Bassoon
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