全国で新規感染者数の減少傾向が続いている。
5月末までには、東京・大阪など8つの都道府県でも、緊急事態宣言の解除が視野に入りつつある状況だ。
休業要請や移動自粛等の制限が緩和されれば、日常生活や経済活動は徐々に元に戻り始めることになる。
しかし、先頃、全国規模の2つのコンクール、「吹コン」(全日本吹奏楽コンクール)全国大会と「Nコン」(NHK全国学校音楽コンクール)の中止が相次いで発表されたように、「3密」を完全に排除することが難しい音楽コンクールについては、まだその開催を見通せない状況が今後も続くと言わざるを得ない。
コンクールの開催可否については、現段階で特に考慮すべき条件がいくつか浮上してきている。
はたして、コンクールは、いつから、どのような形で、開催できるのだろうか。
その4つの条件を以下にまとめた。
(1)コンクール開催地が「感染観察」地域に区分されること
緊急事態宣言が解除されると、「感染拡大注意」地域か「感染観察」地域に区分されることになる。(区分の最終決定は都道府県知事による)
「感染観察」地域に区分されれば、他区分の地域からの参加者がないことを前提に、コンサートやコンクール等のイベントの開催が容認される。
(2)参加者は100人以下に抑えること
「感染観察」地域でのイベントは参加者が100人以下、収容人数が50%以下の実施が目安となる。
仮に全都道府県が「感染観察」地域になれば、全国から参加者が集まるコンクールでも、参加者(=出場者・関係者・スタッフ・観客合わせて)が100人以下であれば実施を検討できるだろう。
※ 参照
(3)出場者は原則マスクを着用するなど、「感染予防ガイドライン」に則った運営を考慮すること
(1)と(2)の条件を満たした上で実施する場合は、「新しい生活様式」と共に、以下の「感染予防ガイドライン」の項目等に則った運営を考慮する。
・来場者の氏名及び緊急連絡先の把握に努める。
・座席は原則として指定席とし、感染予防に対応した座席での対策に努める。
・出場者には表現上困難な場合を除き原則としてマスク着用を求める。
・出演者間で十分な間隔をとるようにすること。
※ 参照
(4)一応安心できるのは「新規感染者数が4週間ゼロ」となった時
上記の3条件を満たせば、何の心配もなくコンクールか開催できるかと言えば、やはり不安が伴う。
いつ第2波の感染拡大が生じるか、クラスター発生のリスクがまだ残っているのではないか。
ホールという「密閉」空間で、参加者が「密集」「密接」する可能性が完全に排除できない中で、それでは何をもって一応の安心を得られる状況と考えることができるのか。
主催者にとっては、実はこれが一番の問題となるだろう。
ひとつの目安と考えられるのは、新たな感染確認者がゼロになってから、さらに14日間の潜伏期間が2回過ぎた後、つまり「新規感染者数が4週間ゼロ」となった時点である。
※参照
ずっと休止してきたものを再開する。誰がまず再開するのか。リスクを取るのか。
もし仮に実施して、クラスターが発生した場合は取り返しがつかなくなる。
皆、先行する主催者のことを見て、それに続こうとしている。
そんな不安の中で、誰かが「第一歩」を踏み出す。
そのために必要な判断材料として、「新規感染者数が4週間ゼロ」を条件として考えてみる。
5月末に全国各地が「感染観察」地域に指定されたとしても、全国で「新規感染者数がゼロ」になるのはいつになるのか。
仮に1か月くらいかかってゼロになるとして、さらにそこから約1か月が必要になる。
そんな推移を想定した時、現時点(5月19日)での判断だが、あくまでもベストシナリオを辿ったとして、目途は8月以降、(1)~(3)の条件を満たしたコンクールの開催が可能となるかもしれない。