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指弓ができる子、できない子

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子供の手首が固いのは、ある意味当然

子供の身体はまだ発育途上で骨も固まっておらず、筋肉も充分にはついていません。

そんな腕で弓を操ろうとすると、肩甲骨から上腕部にかけての筋肉の助けがないので、すべての負担が最終的には手首にかかってきます。

手首から先を固定しないと、弓がコントロールできない状態となります。

勿論、小さい子でも、例えばモーツァルトのロンド(クライスラー編:ロンド ト長調)をスピッカートで弾いてしまう子もいます。

先天的に手の甲の筋肉がついていて各指が独立して動かせる子、あるいは筋肉がついていなくとも、指と弦の接点のバランスを的確に捉える感覚が鋭敏な子などです。

そうした子は手首から先が柔らかですから、指弓も無意識的にできています。しかしそれを、指弓ができているからスピッカートができる、ワンボウができると解釈するのは誤りです。

指の動きだけを取り出して教えることの弊害

いわゆる指弓の指導は、曲解されている場合が多いと思われます。

各指の独立・指の屈伸ができないのは困りますが、そこだけを取り出して練習しているのでは、いつまでたっても実際の演奏で使えるようにはなりません。

指は弦と弓の最適な接点を常時保つための微調整役として機能するから様々に動くわけで、弓の軌道が正しいかどうか、移弦の際にまず二の腕から移動ができているかなど、大本である腕が正しい運動を行っていなければなりません。

そこを指の動きだけを強調して教えると、子供は自分の出している音を聞かずに、ただ機械的に指の屈伸を行うようになってしまいます。

指は動いているが実際に出ている音はかすれている、弓を返すたびに変なアクセントがつく(=反動を付けないと弓が返せない)などの例は数え切れません。特に後者の例はプロでも多々見かけます。

これをごまかすために必要以上に身体を動かす、表情も交えた熱演をするなどのパフォーマンスに走ってしまうのです。

指弓を教える際には、腕全体をよく観察して的確な指示を出すことが望まれます。

なお、連符スピッカートではあらかじめ弓のどこからどこまでを使うと計画を立ててさらう必要があります。これはワンボウの練習でも同じことです。そうしないと、弓をどう使えばいいのか分からないからパニックに陥り、手首をますます固くしてしまう結果に陥ることになりかねません。

弓を握り締めてしまうのも、手首が固いのも、発育途上にある子供にとっては致し方のないことです。正しいやり方で鍛えつつ、身体の成長を待てば、後は時間が解決する側面もあることを念頭に置いておく必要もあるでしょう。

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photo credit: The Old Violin via photopin (license)


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